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NFTを取得・譲渡・交換した場合の課税関係

NFTとは

NFT(Non-Fungible Token、“非代替性トークン”)とは、ブロックチェーン技術を使って、コピーや改ざんを防止したデジタルデータに唯一無二の資産価値を付与したものをいいます。
例えば、アート作品、音楽、ゲーム内アイテム、電子書籍などのデジタル資産が該当します。
 一方で、ビットコインをはじめとする暗号資産のような同じ価値を持つ代替可能なものをFT(Fungible Token、“代替性トークン”)といいます。 近年、NFTの売買については、国内外で活発になってきており、個人が創作及び所有するものが数十万円から数十億円など高額で取引されるケースも出てきています。
今回は、NFTにかかる所得税の課税関係について解説します。

役務提供などによりNFTを取得した場合

NFTが、暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、そのNFTの取引については、所得税の課税対象となります。
 一方、財産的価値を有する資産と交換できないNFTを用いた取引については、所得税の課税対象となりません。
法人等から役務提供の対価として、金銭の代わりに所得税の課税対象となるNFTが支払われた場合には、その対価がどのような性質のものに該当するかにより下記の図1のとおりの所得に区分されます。
(国税庁タックスアンサーNo.1525-2 より)

図1

NFTを譲渡した場合

NFTが、暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、そのNFTの譲渡については、所得税の課税対象となり、下記の図2のとおり区分されます。

図2

一般的には、譲渡したNFTについて値上がり益(キャピタルゲイン)がある場合には、譲渡所得に区分されます。
一方、NFTの譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その事業的規模により事業所得又は雑所得に区分されます。(国税庁タックスアンサーNo.1525-2 より)

NFTを交換した場合

NFTを交換した場合には、対価を金銭で受け取っていなかったとしても課税関係が生じます。
資産の譲渡については、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいい、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与なども含まれます。( 所得税法第33条 )
NFTは、デジタル上のアート作品、楽曲、ゲーム内で使用できるアイテム、電子書籍などと多種多様で、NFT同士の交換であっても、その実態は資産の譲渡に相当することから、現実の物々交換と同様に、相手方に譲渡した時点で課税関係が生じます。

例えば、市場が存在する一定のNFTを前提に、金銭での売買を行わず、個人間でNFT同士を交換したケースを想定しますと、個人が市場での取引価額100万円の「デジタルアート」(取得価額10万円)を、市場での取引価額100万円の別の「デジタルアート」と等価交換した場合には、資産の引渡しが行われた年において、90万円(=100万円(取引価額)-10万円(取得価額))の譲渡所得が生じます。

この場合、交換により取得した「デジタルアート」の取引価額については、交換時の金額を証明できる書類等を保存しておくことを
強くオススメします。
なお、交換したNFTの価値が等価ではなく、市場での取引価額に差がある場合は、その差額分にも課税関係が生じます。

例えば、個人が市場での取引価額100万円の「デジタルアート」(取得価額10万円)を、市場での取引価額150万円の別の「デジタルアート」と交換した場合には、資産の引渡しが行われた年において、140万円(=100万円(取引価額)+50万円(交換したそれぞれの「デジタルアート」の取引価額の差額)-10万円(取得価額))の譲渡所得が生じます。

今回はNFTにかかる所得税の課税関係について解説しました。
実際にNFT取引を行った又はNFT取引を検討している方は課税関係を顧問税理士等の法の専門家に確認することをオススメします。
なお、消費税や法人税においてのNFT取引の詳しい取扱いについては、まだ国税庁の指針が公表されていませんので、今後も国税庁の動向に注目です。

追記 令和5年1月13日に国税庁のホームページにて「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」が公表されました。