NISA制度改正について
目次
1.NISAとは?
NISAとは、平成26年(2014年)1月にスタートした個人投資家のための税制優遇制度です。
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がつけられました。
通常、上場株式や投資信託などに投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)がかかります。
しかし、NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した上場株式や投資信託などの金融商品から得られる利益がすべて非課税になります、つまり、税金がかかりません。
2.令和5年(2023年)までのNISA(現行NISA)
現行NISAには、成年が利用できる①一般NISA及び②つみたてNISA、未成年が利用できる③ジュニアNISAの3種類があります。
① 一般NISAは、上場株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有出来ます。
② つみたてNISAは、一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有出来ます。
③ ジュニアNISAは、上場株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有出来ます。新規の口座開設期限は今年末までとされ、来年以降は新規購入ができないこととされました。
図にまとめると下記のとおりとなります。
NISA | ジュニアNISA | ||
一般NISA | つみたてNISA | ||
制度開始時期 | 平成26年(2014年)1月~ | 平成30年(2018年)1月~ | 平成28年(2018年)4月~ |
---|---|---|---|
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
※ただし、令和5年(2023年)末以降に非課税期間が終了するものについては、18歳になるまで非課税保有期間が継続可能 | |||
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
非課税保有限度額 | 累計600万円 | 累計800万円 | 累計400万円 |
投資可能商品 | ①上場株式②ETF(上場投信)③公募株式投信④REIT(不動産投信)等 | 金融庁へ届出がされた長期・積立・分散投資に適した一定の投信 | 一般NISAと同じ |
買付方法 | 通常買付・積立投資 | 積立投資のみ | 一般NISAと同じ |
備考 |
一般NISAとつみたてNISAは年単位で選択できる 令和5年1月以降は18歳以上が利用可能 令和5年末で開設・買付終了 |
令和5年末で開設・買付終了 |
3.令和6年(2024年)以降のNISA(新NISA)
今年の税制改正により、令和6年(2024年)以降のNISA制度が大きく変わります。
改正の主なポイントは下記の5つです。
① 非課税保有期間の無期限化
現行NISAでは非課税で投資できる期間が一般NISAでは最長5年、つみたてNISAでも最長20年とされていましたが、新NISAでは非課税保有期間が無期限、つまり、一生涯となりました。
② 口座開設期間の恒久化
現行NISAでは口座開設期間が、一般NISAが令和5年(2023年)まで、つみたてNISAが令和24年(2042年)までと限定されていましたが新NISA創設により廃止となり、新NISAでは恒久化(期限なし)とされることなりました。
③ 成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能に
現行NISAでは、つみたてNISAと一般NISAのどちらかを選択しなければなりませんでしたが、新NISAでは成長投資枠(現行の一般NISA)とつみたて投資枠(現行のつみたてNISA)の併用が可能となりました。
④ 年間投資枠の拡大
年間の非課税投資枠が増額されることとなりました。成長投資枠(現行の一般NISA)が120万円⇒無期限に、つみたて投資枠(現行のつみたてNISA)が40万円⇒120万円に増額され、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能となるので、合計で年間360万円まで投資枠が広がりました。
⑤ 非課税保有限度額の拡大
非課税保有限度額が増額されることとなりました。成長投資枠(現行の一般NISA)が累計600万円⇒累計1,200万円に、つみたて投資枠(現行のつみたてNISA)が累計800万円⇒累計1,800万円から成長投資枠の金額(最大1,200万円)をマイナスした金額に増額され、この非課税保有限度額の枠の範囲内であれば、一部の金融資産を売却しても、再びこの非課税枠を利用することが出来ます。
図にまとめると下記のとおりとなります。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
年間投資枠 | 240万円 | 120万円 |
---|---|---|
非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
非課税保有限度額 | 1,800万円 | |
1,800万円の内、1,200万円 | ||
口座開設期間 | 無期限 | 無期限 |
投資対象商品 |
上場株式・投資信託等 (①整理・管理銘柄②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投信等のリスクが高いものを除く) |
長期の積立・分散投資に適した一定の投信(現行のつみたてNISAと同様) |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
現行NISAとの関係 | 令和5年(2023年)末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した金融商品は、新NISAの外枠で、現行制度における非課税措置を継続して適用 | |
※現行NISAから新NISAへのロールオーバー(移管)は不可 |
4.まとめ
今回は現行NISA制度及び新NISA制度ついて解説しました。
新NISAは投資期間が無制限となり、非課税となる金額が生涯にわたって大きくなります。
低金利の今の時代を考えると新NISAを上手に活用することで、将来の資産形成に大いに役立つ可能性がありそうです。