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令和5年分確定申告の注意点及び変更点

今年も所得税の確定申告の時期が間もなくやってまいります。

そこで今回は令和5年(2023年)分の所得税の確定申告の注意点及び前年からの変更点について確認していきます。

-納税地の異動又は変更の手続が不要に-

令和5年1月1日以降は、所得税や消費税の納税地の異動又は変更をする際の「納税地の異動又は変更の届出書」の提出が不要になりました。
今後、納税地の異動又は変更がある場合は、所得税又は消費税の申告書の住所欄に異動後や変更後の納税地を記載すれば良いこととなります。

なお、納税地の変更等をした場合において、振替納税制度を引続き利用するときは、所得税申告書の住所欄の下の「振替継続希望」の欄にチェックを入れる必要があります。

-扶養控除の対象となる国外居住親族の要件の変更-

今までは国外に居住している扶養親族(以下、国外居住親族という。)がいる場合には、「送金関係書類」及び「親族関係書類」の添付があれば扶養控除の対象とすることが出来ました。
しかし、令和5年からは国外居住親族のうち、30歳以上70歳満の者については、原則、扶養控除の対象から外れることとなります。
ただし、30歳以上70歳未満の国外居住親族で以下のいずれかの要件に該当する場合は、今までどおり扶養控除の対象となります。

  • ① 留学により日本に住所及び居所を有しなくなった者(留学ビザ等の添付が必要)
  • ② 障害者
  • ③ 扶養控除の適用を受けるものから生活費又は教育費として年間38万円以上支払いを受けている者
    (38万円以上の送金を証明する書類の添付が必要)

-特定非常災害に関連する損失の繰越期間の延長-

令和5年度の改正により特定非常災害に関連する損失(純損失及び雑損失)の繰越控除期間が3年から5年に延長になりました。
この改正は令和5年4月1日以降に発生する特定非常災害に適用されます。

※ 特定非常災害とは、政府によって指定された非常災害で阪神淡路大震災・東日本大震災などが該当します。
今年の元日に発生した能登半島地震も特定非常災害に該当します。

-財産債務調書の提出義務者及び提出期限の改正-

これまでは、所得税の確定申告書を提出する必要がある方又は一定の所得税の還付申告書を提出することができる方で下記の①及び②を満たす場合には財産債務調書の提出義務がありました。

  • ① その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超える
  • ② その年の12月31日時点で合計価額が3億円以上の財産、または合計価額が1億円以上の有価証券等を所有する

改正により令和5年分以後に関しては上記①及び②を満たす場合に加えて、その年の12月31日において、
その価額の合計額が10億円以上の財産を有する居住者の方も財産債務調書の提出義務者となりました。

また、提出期限についても改正があり、いままでは翌年3月15日までとなっていたところ、令和5年分以後は翌年6月30日(令和5年分は令和6年7月1日(月))までとなりました。

-国外財産調書の提出期限の改正-

上記の財産債務調書と同様、これまでは翌年3月15日が提出期限となっていたところ、令和5年分以後は翌年6月30日(令和5年分は令和6年7月1日(月))が提出期限となりました。

-上場株式等の配当・譲渡所得の申告方式の統一化-

これまで上場株式等の配当・譲渡所得については有利不利を判断して、所得税と住民税とでそれぞれ異なる申告方式の選択が可能でした。しかし、令和5年分以降は「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が削除され、所得税と住民税の申告方式が下記のとおり、統一されるようになりました。

  • 所得税で申告不要を選択した場合 ⇒ 個人住民税も申告不要が適用される
  • 所得税で総合課税・分離課税を選択した場合 ⇒ 個人住民税も総合課税・分離課税方式が適用される

-申告書等用紙の送付取りやめ及び納付書の送付見直し-

国税庁では令和5年5月から申告書等用紙の送付を取りやめており、過去にe-Taxで申告した方や令和4年分の確定申告の際に税務署から送られてきた用紙を使用しなかった方で、申告が必要と見込まれる場合には申告書等用紙の代わりに「確定申告のお知らせ」のはがき等が送られてきます。
申告書等用紙を必要とする場合は、国税庁HPからダウンロードをするか、最寄りの税務署や確定申告会場、市区町村の担当窓口等で受取ることが出来ます。

また、令和6年5月送付分から納付書についても送付対象者の見直しがされ、以下に該当する場合には納付書の送付が行われなくなります。
ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)・インターネットバンキングによる納付・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付といった納付書を利用しない方法で納付した場合

-インボイス登録番号の記入-

令和5年10月より消費税のインボイス制度が開始となりました。そのため、所得税の確定申告に添付する「収支内訳書」及び「青色申告決算書」に令和5年度分から取引先のインボイス登録番号や法人番号を記入する欄が設けられました。インボイス登録番号や法人番号の記入は任意ですが、インボイス登録番号等を記入した場合には、その取引先の名称・住所の記載を省略することが出来ます。

-まとめ-

今回は令和5年分の所得税確定申告の注意点及び変更点について確認しました。
確定申告の期間は2月16日(金)から3月15日(金)までとなっております。
早めに申告に必要な書類等の準備をして、期限までに正しい申告が出来るようにしましょう。